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はじめに


講義やセミナーで、動画を撮影し、不特定多数の人に見てもらうことがあります。

士業やコンサルタント、医者や評論家、政治家など、
専門家と呼ばれる人たちは、その専門知識を伝えるために
動画を活用するケースもあるでしょう。

または、一般企業の広報として、
企業説明や商品説明を動画でプレゼンテーションする機会もあるでしょう。

しかし、カメラを前に事前準備なしで臨むと必ず失敗します。
うまくしゃべれない。わかりづらくなってしまったなど。

せっかく動画を活用したのに、印象が悪く逆効果になってしまうということもあり得ます。

これを避けるための、話し手が意識すべき事項をまとめます。


オンラインウェブセミナーのサンプル
※動画講義のサンプル 講師:黒川貴弘

事前準備ですべての良否がきまる


ぶっつけ本番や準備不足は必ず失敗します。
どんなに慣れてきても、事前準備を怠ってはいけません。

事前準備は、1時間のセミナーであれば、
最低でもその3倍の3時間は、準備時間に当てます。

事前準備でやっておくべきことは以下のようになります。

・誰が見るのかを具体的に想像しておく

⇒動画の場合は、撮影している時点で誰が見るのかわかりません。
 リアルセミナーであれば、実際の聴衆が目の前にいるので、
 多少、想定する顧客層とずれていても、その場の雰囲気で
 話す内容を変えることも可能です。

 動画の場合は、そんな臨機応変な対応ができません。
 したがって、事前準備の段階で綿密に”誰が”見るのかを想定します。

・見る人に向けた一番伝えたい内容を決める

⇒講義やセミナーで話す内容の一番重要な結論を先に決めておきます。
 どんなに長い内容の話であっても、必ず結論は1つにすることがポイントです。
 見る人にフィットする内容で絞り込んでおくことで、
 その講義やセミナーを見た人の記憶にしっかりと残すことができるのです。

・映像として映し出す資料と手元に残す資料は別にする

⇒動画の場合、天気予報のように、
 画面の背景にいろいろな情報を出すことも可能です。
 パワーポイントで用意したグラフや表、画像などを使って、
 説明することが可能です。

 それとは別に、配布用の紙資料を作ることがありますね。
 動画に映し出す用の資料と、紙などで配布する資料は、
 種類も目的も違ってくるため、まったくの別ものにすると良いでしょう。

 動画に映し出す資料の基本は、大きく見やすくシンプルで文字を少なくすることです。

 配布資料は、読み返して理解させるために、文字で説明し、詳細に書くことが必要です。

 これらは別々に、パワーポイントとワードで作るなど
 しっかりと区別しましょう。


動画とリアル(生)の違い


動画の場合は、聞き手の反応を見ながら、話すことができないため、
理解度や話すペースなどがつかめません。
そのため、圧倒的に話す難易度が高いのです。

カメラに向かって話し続けることになるので、
非常にやりにくいです。

ポイントは、事前準備で想定した”誰が見るか”を明確にイメージし、
カメラの向こう側で聞いていることを想像しながらしゃべることが必要です。

この聞いている人のイメージが具体的であればあるほど、
どれくらいの説明量で理解してもらえるのか、
どれくらいのペースで話せば適切か、などが見えてきます。

撮り終えた動画を確認しながら、試行錯誤を繰り返していけば、
必ず聞き手にとって理想的な講義・セミナー動画となっていきます。


カメラ映り


まずは、目線です。
目線はカメラレンズのやや上くらいを見るようにします。

撮影した動画を確認するとわかりますが、
カメラレンズの中央を直視するよりも、やや上を見るくらいの方が、
威圧感がなくなり、見る側からすると動画を見やすくなるのです。

上を見過ぎると違和感があるので、
カメラレンズのフレームの上側くらいがベストでしょう。

さらに、手元に資料がある場合、
どうしても視線が下に落ちてきてしまいます。

それを防止するためにも、やや上を初めから意識しておくことで、
目線を下に向けずに保つことが可能となります。

次に、動作です。
上半身はなるべく固定し、動かすのは腕のみとします。

映像の中で、上半身が上下左右に動くと、
見る人の目線もその動きに誘われてしまい、
本来注目してほしい話の内容や資料に集中できなくなってしまいます。


話し方


動画を見る人は、たいてい自宅が多いため、
どうしてもリアルの講義やセミナーと比較すると、
緊張が少ないため集中力が落ちてしまいます。

集中力が落ちている状態で話を聞いてもらわないといけません。

そこで、ポイントは緊張感を与えることです。

一番簡単な手法は、話すスピードを上げることです。

スピーディーなしゃべりをすることで、
早いしゃべりについていこうと、聞き手が集中してくれる場合があるのです。

あんまりノロノロしたペースで話していると、
眠くなってしまいますので、
リアルな場で話すよりは、早くすることを意識してください。


飽きさせないために


長時間の動画は飽きます。
これはしかたがないことです。

映画レベルの魅力を動画で表現しない限り、
1時間、2時間集中して見てもらうことは不可能です。

そのため、特に動画の場合は、
結論を明確に、短くまとまった話をすることです。

あとは、動画の持ち味を最大限に利用します。

つまり、イスに座ったまま、単に話している部分だけを
撮影するのではなく、
随所にスライドで説明画像を差し込んだり、
ロールプレイングしているミニドラマを差し込んだりすることも有効です。

できれば、動画編集をしっかりと加えて、
飽きさせない動画作りをしてください。


まとめ


このように、話し手が意識すべきことはたくさんあります。

最初からすべてを完璧にこなすことは難しいでしょうが、
少しずつ改善しながら、多くの動画を作っていくことで、
どんどん洗練されたものとなっていくでしょう。

講義やセミナー動画をよりよいものにしていくために、
参考にしてください。


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